銀行のIRA
アメリカ人は、当初こそ銀行のIRA(定期預金)を利用していましたが、折からの強気相場が始まった株式市場での運用を求めてミューチュアルファンド(投資信託)に大量に移動し始めました。さらに一九九○年には、退職貯金の新形態として四○一(k)プランが急拡大して、個人の年金マネー革命はすっかり市民権を得ました。四○一(k)プランとは、給与の一五%まで課税繰り延べでお金を積み立てられる企業年金のことですが、ミューチャルファンド四兆ドルの約半分が四○一(k)プランだといわれるほど、今ではアメリカ最大の退職貯蓄手段として根づいています。退職金と年金運用手段の多様化が本当にアメリカを変えてしまった好例です。では、いまから三○年前に始まった頃の金融革命とはどんなものだったのでしょうか。それはMMFの誕生にまでさかのぼります。MMFはマネー・マーケット・ファンドの略称ですが、一九七○年二月にアメリカ証券取引委員会(SEC)に認可申請書が届いたときには、単なるリザーブファンドとして認識されていただけでした。今では日本でもごく当たり前の存在となったMMFですが、アメリカ金融構造革命に与えた影響は計り知れないほど大きいのです。